fire(クビにする、発砲する)
2005年 05月 21日
現代の大砲はもちろんそんなふうには発射しないが、「発射!」という号令には今でも"Fire!"という英語が使われる。SF映画を見ても、"Phaser, fire!"(フェイザー砲、発射!)などというセリフが聞かれる。フェイザー砲なるものがどういう原理の兵器かは知らないが、まさかタイマツで火はつけまい。
さらに大人になると、今度はfireが「クビにする、解雇する」という少し嫌な意味でも使われることを知る。もともとは口語表現だったらしいが、辞書で「解雇する」と引くと出てくるdismissといった単語よりも見聞きすることが多いようだ。
もっとも、映画やドラマで見かけるように、相手に面と向かって"You're fired!"(おまえはクビだ!)などと怒鳴る上司はほとんどいないらしい。それはそうだろう。常識的にはもっと婉曲な言い方をするはずだ。
直接的な表現で「クビ」「解雇」「人員整理」などというのが忌み嫌われているのか、この国では最近「リストラする」という言葉がその意味でよく使われている。しかし、英語のrestructuringとは「再構築、再構成」の意味であって、restructureされるのはcompany(会社)のようなorganization(組織)、せいぜいjob(仕事)である。「従業員(人)をrestuctureする」という言い方はしない。
(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第6号掲載、一部加筆) ©Yoshifumi Urade 2003