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by eigoyasan

カテゴリ:こんな英語、見つけたよ( 18 )

National Guard(州兵)

軍事制度は国によって異なるので、「軍隊」を持たない日本人にはなじみのない軍事用語も多い。米国のジョージ・ブッシュ大統領(子、第43代)がかつてテキサス州の州兵となったのはベトナム戦争の徴兵逃れではないかという記事によく出てくる「州兵」も、そのひとつだろう。

この「州兵(州軍)」、元の英語は(the) National Guard という。文字通りの意味は「国家(国民)防衛隊」くらいだろうか。その制度について詳しいことは私も知らないが、各州が運営する一種の民兵組織のようなものらしい。平時は自分の仕事をしながら、年に何回か軍事訓練に参加するだけで手当がもらえるようだ。

そのため、手軽な小遣い稼ぎくらいの気持ちで志願する米国人もいるようだが、イラク戦争という「戦時」になって、州兵の一部は合衆国陸軍に編入され、イラクに送られているという話をテレビのドキュメンタリー番組で見た。これには驚いた。現在ではそう簡単には徴兵逃れの手段としては使えないようだ。つい昨日まで七面鳥にエサをやって暮らしていた田舎の牧場主が、砂漠用の迷彩服に身を固めて射撃訓練をしている。

かつて戦時下のこの国にも「郷土防衛隊」という半官の民兵組織があって、沖縄のように戦場になった場所では戦地に狩り出されたらしい。この種の組織は、平時にあっては火事のほとんどない田舎の消防団のようなものだが、戦争が起きると矢面に立たされるものらしい。

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第27号掲載) ©Yoshifumi Urade 2004
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by eigoyasan | 2006-01-16 17:21 | こんな英語、見つけたよ

political party(政党)

政党は a [political] partyという。partyという言葉は実に様々な意味で使われるが、この場合は「党、党派」という意味だ。与党ならa ruling party(=「政権をもっている政党」の意味)、野党はan opposition party(またはthe opposition、=「反対する側の政党」)という。

第一院(衆議院)に小選挙区制を導入した日本でも二大政党制(two-party system)への移行が進んでいる。これらの政党に所属する政治家やそれに与する評論家には、二大政党制への移行があたかも世界の潮流であるかのようにぶっている人がいるようだが、もし本当にそう思っているとしたら、無知もいいところだ。

たしかに、米英などは伝統的に二大政党制だが、それはむしろ、小選挙区制という古いシステムをとり続けている結果としてそうなっているだけ。しかし、ひとつの選挙区からひとりしか選ばれない小選挙区はいわゆる「死に票」が多く、民意を忠実には反映しない。それを補正する意味もあってか、衆議院では申し訳程度に比例代表制も併用している。

考えてみると、ボーダーレス化が進んでいる今日、小選挙区という狭い地域から代表を選んで国会に送るという旧来型の選挙制度自体がすでに時代遅れになっているようにも思うのだが、どういうわけか、そういうことはあまり論じられないようだ。

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第25号掲載) ©Yoshifumi Urade 2004

※日本の選挙制度の問題については、コラム「英楽通法」(連載第105回「過剰代表」)でも取り上げました。
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by eigoyasan | 2005-11-17 11:00 | こんな英語、見つけたよ
先日総選挙があった日本の衆議院の英文名称はthe House of Representativesだが、英語のニュースメディアではよくthe Lower House(下院)と呼ばれている。一方の参議院のほうも、the House of Councillorsという英文名称よりもthe Upper House(上院)のほうが通りが良いみたいだ。

衆議院議員は、辞書を引くと(a) member of the House of Representativesと出ているが、これも英文メディアではよくLower House memberと呼ばれたり、MP(Member of Parliament)と略称されることが多い。日本の国会の英語名はthe Dietで、Parliamentは一般には英国などの議会を指す言葉だが、そのあたりはあまりこだわらないらしい。

ちなみに、衆議院(下院)議長にはSpeakerという独特の呼び方がある。下院議長に対する呼びかけには"Mr. Speaker"という言い方を使う。

これも国によってまちまちだが、二院制の国における第一院としての下院は、民意を反映させるために解散できるようになっていることが多い。日本や英国など議院内閣制を採っている多くの国では、首相はふつう下院から選出される。

先日の衆議院解散では、「参議院で法案が否決されたのに衆議院を解散するのはおかしい」だの、憲法違反だのとグチをこぼす与党議員がいたのには呆れた。この国の憲法(第7条)では、衆議院の解散は内閣(首相)の専権事項。首相が衆議院を解散したければ解散できるわけで、今回の解散もまたそういう人物を総裁に推しいただいた与党の自己責任というものだろう。

前にコラム「英楽通法」(連載第76回「国会」)でも触れたが、国によって議会制度の背景も仕組みも異なり、呼び方も様々だ。私はたまたま政治学を専攻していたのである程度はわかるが、これから勉強してみたい方は一度整理しておくといいかもしれない。 

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第50号掲載) ©Yoshifumi Urade 2005
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by eigoyasan | 2005-09-24 14:27 | こんな英語、見つけたよ

Kyosei(共生、symbiosis)

使い出したのが学界かそれとも産業界かは定かでないが、「共生」という日本語をKyoseiと書いて国際語として使おうという動きがあるようだ。もっとも、Googleなどで検索してみると、少なくともインターネットで見る限りは、この意味でのKyoseiはまだそれほど定着していないようだ。

「共生」に当たるsymbiosisという英語があるので、Kyoseiという単語が普及するまではその単語を併記したほうがいいかもしれない。ただし、symbiosisという単語は、どちらかといえば、たとえばアリとアリマキがお互いに利益を与えながら生存する関係を表した、生物学的な用語として使われることが多い。

いっぽう、ビジネスなどでスローガンとして使われるKyoseiという言葉は、これとは少し違った概念、どちらかといえば「共存共栄」とか、生態系や秩序を破壊することなくともに生存するといった意味合いで使われているようだ。生物学用語で言うところの「共生(=symbiosis)」とは明らかに違う。

日本語の単語が国際語化するのは大いにけっこうだが、伝える側と伝えられる側がその定義をよく知らないままに使うのは剣呑だ。特にまだ普及していない言葉を使う場合は、どこかにその意味をきちんと定義しておくといいだろう。

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第24号掲載) ©Yoshifumi Urade 2004
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by eigoyasan | 2005-09-09 18:35 | こんな英語、見つけたよ

warmonger(戦争屋)

大学受験の前だったか、それとも大学に入ってからだったかは忘れたが、warmonger(戦争屋)という単語を覚えたのを最近ふと思い出した。「戦争屋、戦争挑発者」という意味だが、電子辞書に入っている『ロングマン現代アメリカ英語辞典』を引くと、someone, especially a politician, who is eager to start a war to achieve an aim (目的を達成するために戦争を始める人、特に政治家)とその意味が明快に定義されていた。

要するに、自らの利益を追求するために戦争を仕掛ける手合いのことを俗に言った言葉がこれである。比較的平和な時代が続いていたせいか、この言葉はしばらく記憶の片隅に眠っていたが、最近の国際情勢を見てにわかにwarmongerが多くなったと感じるこの頃である。

ちなみに、BushまたはCheneyとこのwarmongerの2語をGoogleに入れると、面白いほど検索結果がたくさん出てくる。あまりレッテルを貼りつけるような評価は避けるべきだとは思うが、インターネットを使って世界の人々と物の見方を共有してみる視点もまた大切だろう。

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第19号掲載) ©Yoshifumi Urade 2004
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by eigoyasan | 2005-08-14 20:31 | こんな英語、見つけたよ
日本のマスコミが平和主義を志向しているのはまことに結構なのだが、軍備とか安全保障の問題について不見識な関係者が多いようだ。わざわざイラクまで自衛隊の取材に行って「この装甲車は頑丈そうです」と伝えてきたのんきなレポーターがいたのには、あきれてしまった。まるで、「この機関銃は弾丸を続けて発射することができます」と伝えているようなものだ。「装甲車」なのだから、頑丈なのは言わずもがなだ。

もっとも、軍事を顧みなくなって久しい戦後の日本人には、言葉だけでなく、その言葉で表されている事物や行為そのものを知らないことがある。mothballという言葉もそのひとつだろう。"USS Iowa has been mothballed."などと書いてあっても、「USSアイオワをモスボールした」と訳したのでは、何のことやらさっぱりわかるまい。

mothballの元々の意味は、かつてトイレでよく見かけたナフタリンでできた防虫剤の玉のこと。転じて、軍艦をいったん退役させて長期保存用の処理を施すことをいう。米国では、たとえば大型戦艦のように、今日では無用の長物になった旧型の軍艦をmothballすることがある。完全にスクラップにするのではなく、いざ有事というときには現役に復帰させるためである。前掲の文は、「米国軍艦アイオワを予備役として長期保存(のための処理を施)した」という意味なのである(戦後の日本にそういう慣行がないせいか、一語でぴったり当てはまる日本語が見当たらない…)。

日本の海上自衛隊は、艦の保有数が法律で制限されているらしく、最新鋭の新造艦ができると旧型艦は退役させてしまうらしい。もったいない話だが、予備役に回すこともできないし、軍事技術が詰まった船を外国に売却することもできないのだろう。平時の軍隊というのも、コストがかかるものだ。

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第18号掲載) ©Yoshifumi Urade 2004
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by eigoyasan | 2005-07-31 15:25 | こんな英語、見つけたよ

caucus(党員集会)

アメリカ合衆国の大統領候補を選ぶ選挙の仕組みは複雑だ。まず、共和党と民主党それぞれで候補者を1人に絞るための選挙運動が延々と続く。不思議なことに、州によって代議員を選出する時期や形態が微妙に異なる。予備選挙(primary)をやる州もあれば、党員集会(コーカス、caucus)という集会形式で候補者を絞る州もある。

予備選挙は「選挙」なのでまだ察しもつくが、党員集会のほうは今まで、どういうものかいまひとつピンと来なかった。そう思っていたら、前回の大統領選挙でどこかのテレビ局の報道番組がコーカスの様子を伝えてくれた。

机も何もない広い講堂や大教室のようなところに党員が集まって、「○○候補を支持する人は手を上げて、こっちに来て!」などといいながら、自分が支持する候補の支持者を増やしていく。なんだか学級委員の選挙みたいというか、昔遊んだ「花いちもんめ」にもどこか似ていて、見ているとどこか面白い。参加したらもっと面白いのかもしれない。

いっぽう、いちおうは民主主義国家の一市民である私が住んでいる地域は、地方自治体首長の選挙には与野党の相乗り候補しか出ないようなところで、具体的政策も人柄もほとんど聞こえてこない候補者だけの選挙にちょっとうんざりしている。

選挙への関心が薄れて投票率が低下しがちで、民主主義が形骸化してきた今こそ、もっと違った形の民主政治を考えるべき時期に来ているのかもしれない。

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第17号掲載) ©Yoshifumi Urade 2004
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by eigoyasan | 2005-07-17 22:15 | こんな英語、見つけたよ

best before(賞味期限)

先日、英国の知らない会社から来た依頼の中に"Best before: see base."という文言があった。これだけなら何のことやらピンと来ないが、その前に食品の原材料の記述があったので、「ああ、缶詰などの底に書いてある『賞味期限:底面(缶底)に記載』とかいうあれだな」と気付いた。

実は英語圏で生活経験のない私の場合は、日用品に記載されているこの種のありふれた言葉を見慣れていないので、少し苦手だ。

たとえ海外からの輸入品でも、日本で売られている食品の類はほとんどその上から日本語のラベルが貼ってあるので、英語では何と書いてあるのか気付かない。法律か何かでそう決められているのだろうが、日本国内在住の外国人にはかえって不便のような気もする。

特に食品の原材料については、アレルギーのある人には生命にかかわる問題にもなりかねない。せっかく英語で書いてあるなら、それはそれで読めるように、日本語のラベルは別の場所に貼っておくような配慮があってもいいように思う。

なお日本語でいう「賞味期限」は、現在では生鮮食品などの「消費期限」と、加工食品などの「品質保持期限」に区別されている。私はこの分野の専門家ではないのでよくは知らないが、広義の「賞味期限」は後者の意味にほぼ近いようだ。英語にはこのほか、shelf lifeという言い方もある。覚えておくと便利だ。

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第15号掲載) ©Yoshifumi Urade 2004
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by eigoyasan | 2005-07-09 09:02 | こんな英語、見つけたよ
いわゆる受験英語で育った私のような人間は、やたらと長い単語は知っているくせに、日常よく使われている簡潔な語彙に欠ける傾向がある。一世紀ほど前に書かれたような「試験によく出る」評論文や長文ばかり読まされてきた報いかもしれない。

かつて翻訳を頼まれたアメリカ英語の表現集(注)に、"Picky picky picky."という表現が出てきた。私がよく校正を頼む米国人がときどき「こだわりすぎだったね」という意味でそうメールに書いてくるので知っていたものの、その意味や使い方を私が知ったのはそれほど昔のことではない。

pickyは「えり好みする、あら捜しする」という意味の形容詞である。辞書を見ると口語表現となっているが、けっこうよく使われているようだ。米国のテレビ放送局のニュースサイトを見ていたら、"U.S. Workers too picky?"(米国の労働者は仕事を選びすぎ?)という見出しが出ていた。

このように短く簡潔な言葉は、見出し(headlines)で好んで使われる。たとえば、ヘリコプター(helicopter)の墜落事故に関する記事の見出しはChopper Crashed(ヘリ墜落)のように書いてあることが多い。

もちろん、書き言葉としてよく使う重厚な単語を知っていることは悪いことではない。だが、自戒の念も込めて言えば、私のような日本育ちの英語使いは、こういった"軽いノリの英語"をあまり知らないようだ。

(注)『バーダマン教授の 辞書には出ていないアメリカ英語フレーズBOOK』(James M. Vardaman著、拙訳)

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第14号掲載) ©Yoshifumi Urade 2004
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by eigoyasan | 2005-06-21 12:33 | こんな英語、見つけたよ
技術翻訳の仕事をしている人ならおなじみの表現に、fireproof(耐火性の)とかwaterproof(防水性の)という便利な形容詞がある。後者は「ウォータープルーフ」というカタカナ語になって、すでに日本語でも定着している。

似たようなものをいくつか挙げると、bulletproof(防弾の)、dustproof(防塵型の)、shockproof(耐衝撃性の)、weatherproof(耐候性の、全天候型の)などいろいろとあっておもしろい。childproofというのもある。「子どもにとって安全な」という意味らしい。『ビジネス技術実用英語大辞典』(海野文男+海野和子 両氏編、日外アソシエーツの電子版をお持ちの方は、proofと入れて後方一致検索してみるといい。

先週6月7日(火)発売の『財界』誌掲載のコラム「英楽通法」には、foolproof(フールプルーフ)について書いた。上述の言葉と違って適当な日本語がないが、「fool(バカ)の使用にも耐える」、つまり、誰でも使える、利用者がどのような使い方をしても絶対に危険を起こさないように設計してあるという意味で使われる。これに近い意味の言葉として、生産現場には「ポカよけ」、俗語に「バカチョン」という日本語があるが、漢字で表せるきちんとした言葉が見当たらない。

この言葉に限らず、和訳をしていて適当な日本語がない場合は、カタカナ表記の外来語に頼ってしまうことが多い。しかし、専門外の人に「フールプルーフ」といっても、あまりピンと来ないかもしれない。physicsを「物理学」、libertyを「自由」と訳した明治時代の先人に倣って、漢語を作る努力がもう少し必要な気もする。

(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第47号掲載) ©Yoshifumi Urade 2005
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by eigoyasan | 2005-06-14 15:20 | こんな英語、見つけたよ